シマノ(SHIMANO)の17アルテグラ(ULTEGRA)は、旧モデルの12アルテグラから、実に5年ぶりのフルリニューアルとなるスピニングリールだ。
1万円前後の価格にミドルクラスの優れた機能を搭載し、シマノのスタンダードモデルとして不動の人気を誇るアルテグラ。
この新しい17アルテグラは、旧モデルから立ち位置を大きく変えての登場となる。

目次
17 アルテグラ (ULTEGRA)
ラインナップのカテゴリーを変えた17アルテグラ。
旧モデル12アルテグラはクイックレスポンス
旧モデルの12アルテグラは、シマノが誇る超軽量カーボン素材CI4+のマグナムライトローターを搭載し、軽快な巻き心地とレスポンスに優れたモデルだった。
そして、そのカテゴリーは、頂点をヴァンキッシュとするクイックレスポンスシリーズにラインナップされていた。
新モデル17アルテグラはコアソリッド。

ULTEGRA – CORESOLID SERIES
しかし、今回登場した17アルテグラは、旧モデル最大の特徴でもあったCI4+製マグナムライトローターを脱ぎ捨て、剛性&滑らかな巻き心地重視するモデルへと変化を遂げた。
そして、そのカテゴリーは、ステラを頂きとするコアソリッドシリーズに組み込まれることとなった。

HAGANEギア搭載で、なめらかで心地の良い巻きを実現!

HAGANEギア
17アルテグラは、シマノの誇る高品質テクノロジーHAGANEギアをシリーズ初採用。
旧モデル12アルテグラに搭載されていた亜鉛ダイキャスト製のドライブギアから大きな進化を遂げている。
このHAGANEギアは、シマノが得意とする独自技術の精密冷間鍛造で、切削なしにミクロン単位の高精度で仕上げられたドライブギアだ。

引き続きX-SHIPも採用。軽快なリーリングを約束。
このHAGANEギアに加えて、17アルテグラは旧モデルに引き続きX-SHIPも採用。
- ドライブギアの大径化
- ピニオン&ドライブ両ギアの最適配置
- ピニオンギアのべアリングによる2点サポート
という頑強なギアの組み合わせで、負荷に強い軽快なリーリングを保持してくれる。
安心の防水構造コアプロテクトで耐久性抜群!

COREPROTECT (コアプロテクト)
17アルテグラは、シマノ独自の防水構造コアプロテクトをボディとラインローラー部に初採用。
コアプロテクトは、撥水効果を利用することで水の侵入を防ぎ、回転抵抗を増やさずに優れた防水効果を実現した機構だ。
このコアプロテクトの採用により、旧モデルから飛躍的に耐久性を増した17アルテグラは、タフなソルトシーンでも活躍してくれるモデルとなった。
また、ボディ・ラインローラー部の塩ガミに対する耐久性が増すことで、リールの本来の滑らかな回転性能が長続きする。

体感自重を軽くし、タックルバランスを向上させるGフリーボディ採用!

G FREE BODY (Gフリーボディ)
17アルテグラは、体感での自重を軽くする効果のあるGフリーボディも初採用している。
このGフリーボディは、リールの重心を手元に近づけることでロッドとの一体感が向上。
リール自体の自重は変わらずとも、体感的な自重を軽くする構造だ。

ただし、17アルテグラの自重は増加
実は、17アルテグラの自重は、旧モデルの12アルテグラから比較して5〜20g程度重くなっている。
これは、超軽量カーボン素材CI4+のマグナムライトローターを採用していないことや、しっとりとした巻き心地重視のコアソリッドシリーズにラインナップされたことで、軽さよりも剛性を優先させた結果だろう。
しかし、17アルテグラは旧モデルに採用されていなかったGフリーボディを新採用したことで、体感的な軽さはそれほどまでに重くなったとは感じないはずだ。
17アルテグラは12アルテグラとどう変わったのか?
17アルテグラが進化したポイント
17アルテグラが旧モデル12アルテグラから進化(変化)したポイントをまとめみると、下記の通りになる。
- クイックレスポンスシリーズからコアソリッドシリーズに変化
- ドライブギアが亜鉛ダイキャストから超々ジュラルミン製HAGANEギアに進化
- 防水構造コアプロテクトを初搭載
- 体感自重を軽くするGフリーボディを初採用
逆に、劣ってしまったポイントもある。
進化とは逆に、17アルテグラになって劣ってしまったポイントもある。
- CI4+製マグナムライトローター非採用
- 自重が5〜20g程度増加
17アルテグラは、クイックレスポンスシリーズからコアソリッドシリーズに変化したことで、リールとして目指す方向性が変わり、軽量化よりもタフさ、巻き心地を重視。
その結果、軽さと高レスポンス性に劣ってしまうことになった。

17アルテグラVS16ナスキーどちらが買いなのか?
16ナスキーに似てしまった17アルテグラ。
さて、ここまでご紹介してきた17アルテグラの新機能だが、実は、ほとんどその全てを昨年登場した16ナスキーが搭載している。
▼こちらが16ナスキー
16ナスキーは、17アルテグラの下位機種であり、実売価格ではおおよそ2〜5千円程度安い。
と多くのアングラーが思うのではないだろうか。
しかし、17アルテグラにも優れた点は多くある。
17アルテグラと16ナスキーのスペック比較
ここでは、両モデルを比較しながら17アルテグラの良さを見ていこう。
下の比較表では、違いのあるところを赤字にしてある。
製品名 | 17アルテグラ | 16ナスキー |
---|---|---|
HAGANEギア | ◯(超々ジュラルミン) | ◯(超々ジュラルミン) |
X-SHIP | ◯ | ◯ |
コアプロテクト | ◯(ボディ&ローター) | ◯(ボディのみ) |
Gフリーボディ | ◯ | ◯ |
ボディ材質 | 高強度樹脂 | 高強度樹脂 |
ローター材質 | 高強度樹脂 | 高強度樹脂 |
ピニオンギア材質 | 超高強度真鍮 | 超高強度真鍮 |
ハンドル取付タイプ | ネジ込式 | キャップ固定式 |
ウォータープルーフ ドラグ | ◯ | ◯ |
ウォームシャフト オシュレーション | ◯ | ☓ |
ベアリング (ボール/ローラー) | 5/1 | 4/1 |
S A-RB (防錆ベアリング) | 1 | 0 |
価格 | 15,800〜20,000円 | 10,900〜13,500円 |
実売価格 | 1万円〜1万円半ば | 8千円〜1万円程度 |
耐久性・タフさに違いあり!
ラインローラーのコアプロテクトは結構大きい
まず、両者の大きな違いは、ラインローラーのコアプロテクトの有無だ。
つまり、
- 16ナスキー:コアプロテクトはボディだけ
- 17アルテグラ:コアプロテクトはボディとラインローラーの両方
であるということだ。
ステラ、ヴァンキッシュ、ツインパワーなど、上位機種は全て採用しているラインローラーのコアプロテクト。
ライントラブルや巻き心地の良し悪しに直結するため、長く使えば使うほど、ここにコアプロテクトが有るのと無いのとでは大きな違いが出てくるはずだ。
防錆ベアリングも多い17アルテグラ
また、防錆ベアリングの数にも違いが見られる。
- 17アルテグラ:防錆ベアリングS A-RB1つを含む、計6個のベアリング(ボディ5+ローラー1)
- 16ナスキー:防錆ベアリングS A-RB無し。計5個のベアリング(ボディ4+ローラー1)

ハンドル取付タイプが、ネジ込式とキャップ固定式の違い
もう一つの大きな違いは、ハンドル取付タイプの違いだ。
- 16ナスキー:キャップ固定式
- 17アルテグラ:ネジ込式
これは、かなり大きいと思う。
ネジ込式とキャップ固定式の違いをおさらい
ここで、ネジ込式とキャップ固定式の違いをおさらいしておこう。
ネジ込式は、ハンドルをネジ加工されたドライブギアに直接止めて固定するタイプだ。
力を無駄なく直接ギアに伝え、ハンドルの遊びやブレ、ガタつきが少ないのが特徴だ。
一方、キャップ固定式は、ドライブギアに開けた穴の中にハンドルのシャフトを通し、逆側のキャップでシャフトを固定するタイプだ。
キャップ固定式はドライブギアとハンドルが直接止まっていないので、長く使っているとガタつきが出やすく、巻き感度が悪くなりやすいのが特徴だ。
タイプ | ネジ込式 | キャップ固定式 |
---|---|---|
止め方 | ネジ加工されたドライブギアに、 ハンドルを直接止める | ドライブギアの穴にハンドルシャフトを通し、 逆側のキャップでシャフトを固定 |
特徴 | 力を無駄なく直接ギアに伝える ハンドルの遊びやブレ、ガタつきが少ない | 長く使っているとガタつきが出やすい 巻き感度が悪くなりやすい |
巻き感が良く、剛性も耐久性も強いネジ込式
このように、キャップ固定式に対して、ネジ込式は圧倒的に巻き感が良く、剛性も耐久性も強い。
もしかすると、この決定的な違いが17アルテグラをコアソリッドシリーズにラインナップする一方で、ほぼ同じ性能を持つ16ナスキーを同シリーズに入れなかった理由なのかもしれない。
自重も軽い17アルテグラ
自重に関しては、番手ごとに異なるので比較表では省略しているが、17アルテグラの方が16ナスキーよりもだいたい10〜15g程度軽くなっている。

2〜5千円の差をどう捉えるか
さて、このように見ていくと、17アルテグラと16ナスキーは、意外と耐久性と巻き心地に差がありそうだ。
確かに、昨年の16ナスキーのデビューが鮮烈すぎて、一見すると目新しさのない17アルテグラの良さは埋もれがちで、16ナスキーで十分じゃないかと思ってしまいがちだ。
しかし、番手によっては実売の価格差が2千円程度しかなく、その価格差でこれまでご紹介したようなタフさと巻き心地の良さを体感できるとなると、これはお買い得だなと私は思う。
特に、タフさが要求される環境でガンガン釣りをしたいというアングラーにとっては、17アルテグラの方が長い目で見れば耐久性があって安心して使えるはずだ。
逆に、そんなに過酷な釣りはしない、釣りに行く回数も少ない、とにかく価格重視、というアングラーにとっては、価格の安い16ナスキーで十分だろう。
もちろん、16ナスキーもコスパに優れた素晴らしいリールだからだ。

17アルテグラ(ULTEGRA)のスペック
製品名 | ギア比 | 自重 (g) | ドラグ力 実用/最大 (kg) | 最大 巻取長 (cm) | フロロ 糸巻量 (lb-m) | PE 糸巻量 (号-m) | ハンドル (mm) | ベア リング | 価格 (円) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1000 | 5.0 | 200 | 2.0/3.0 | 66 | 1.5号-120 2号-85 2.5号-70 | 0.8-240 1-190 | 40 | 1/4/1 | 15,800 |
C2000S | 5.0 | 205 | 2.0/3.0 | 66 | 3-110 4-85 5-65 | 0.6-150 0.8-110 1-80 | 40 | 1/4/1 | 15,800 |
C2000HGS | 6.0 | 205 | 2.0/3.0 | 79 | 3-110 4-85 5-65 | 0.6-150 0.8-110 1-80 | 45 | 1/4/1 | 15,800 |
2500 | 5.0 | 240 | 3.5/9.0 | 73 | 2号-140 2.5号-125 3号-100 | 1-320 1.2-220 1.5-160 | 55 | 1/4/1 | 16,800 |
2500S | 5.0 | 240 | 2.5/4.0 | 73 | 4-130 5-100 6-80 | 0.6-200 0.8-150 1-110 | 55 | 1/4/1 | 16,800 |
2500HGS | 6.0 | 240 | 2.5/4.0 | 88 | 4-130 5-100 6-80 | 0.6-200 0.8-150 1-110 | 55 | 1/4/1 | 16,800 |
C3000 | 5.0 | 240 | 3.5/9.0 | 73 | 2.5号-160 3号-130 4号-100 | 1-400 1.5-270 2-180 | 55 | 1/4/1 | 16,800 |
C3000HG | 6.0 | 240 | 3.5/9.0 | 77 | 2.5号-160 3号-130 4号-100 | 1-400 1.5-270 2-180 | 55 | 1/4/1 | 16,800 |
3000XG | 6.2 | 250 | 3.5/9.0 | 91 | 2.5号-160 3号-130 4号-100 | 1-400 1.5-270 2-180 | 55 | 1/4/1 | 19,000 |
4000 | 4.8 | 285 | 6.0/11.0 | 77 | 3号-190 4号-145 5号-115 | 1-500 1.5-320 2-210 | 55 | 1/4/1 | 19,000 |
4000XG | 6.2 | 285 | 6.0/11.0 | 99 | 3号-190 4号-145 5号-115 | 1-500 1.5-320 2-210 | 55 | 1/4/1 | 19,000 |
C5000XG | 6.2 | 285 | 6.0/11.0 | 105 | 4号-170 5号-135 6号-115 | 1.5-370 2-320 3-190 | 55 | 1/4/1 | 20,000 |
技術特性
- HAGANEギア
- X-SHIP
- コアプロテクト
- Gフリーボディ
- AR-Cスプール
- S A-RB
- 海水OK
17アルテグラの発売日と最安値
17アルテグラの発売日は2017年2月発売予定となっている。
すでに販売開始!
17アルテグラは、すでに販売が開始されている。
執筆時に最安値を確認したところでは、1000番のモデルがアマゾンで税込11,494円〜販売されていた。
おおよその実売価格は、安いモデルで1万円前後、高いモデルでも1万円半ばくらいだ。

まとめ
シマノ(SHIMANO)の2017年新作スピニングリール「17アルテグラ(ULTEGRA)」は、シマノの誇るHAGANEギアやコアプロテクトなどを新採用し、旧モデルとは一線を画す耐久性と、高次元でなめらかな巻き心地を実現したスピニングリールだ。
クイックレスポンスシリーズからコアソリッドシリーズに立ち位置を変え、低価格なコスパモデルながら、タフなソルトシーンでも安心して使えるモデルとなっている。

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